美しい紫色の餡 正体解明!
昨日は、小豆こし餡を炊き上げました。和菓子教室はなでは、レッスンに使う餡のすべてを手作りしています。そんなわけで、時間の空いた日は、餡炊きに精を出します。特に、小豆こし餡を作ると思い出すことがあります。当時もHPに掲載しましたが、美味しい和菓子の要である「餡」の科学的に証明された新しい発見を、和菓子にかかわる多くの方々に知っていただきたく、少し編集しましたが再掲載しますのでのでご覧ください。
2年前の2019年2月9日の毎日新聞に「あんの色、正体解明、より美しい色にも」と題した記事が掲載されました。私は不覚にも見逃してしまったのですが、会員のT.I.様が翌10日にメールで知らせてくださいました。記事の内容は、名古屋大学の吉田久美教授らの研究グループが赤小豆の種皮に新規の紫色の色素を発見し、その研究結果が英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されたというものです。会員のT.I.様が、この記事を見つけてくださったこと・・興味がなければ見過ごしてしまいます・・レッスンの際、折に触れて製菓理論を話している私を思い出してくださったのかな?知らせてくださったこと・・とても嬉しかったです。そして、同性である女性の科学者が成し遂げた業績をとても嬉しくワクワクしたことと、昔仕事で研究に没頭していた頃を思い出し、心がざわっともしました。
早速、電子版で公開されている論文を読んでみました。なんせ英語で書かれてるものですから時間がかかりました。要約すると、高級な紫色餡はアントシアニン色素(ブルーベリーや茄子の紫色)によるものと考えられてきましたが、製餡の際にカテキンとシアニジンが縮環した(化学反応のひとつ)2種類の物質によるものであり、これらの物質は世の中にまだ知られていない新規物質で、水に不溶、酸性~中性域で美しい紫色を呈し、餡の紫色を担う物質であるとしています。また吉田教授らは、これら2つの新規物質の分子構造を明らかにし、製餡された餡のなかに、これら二つの新規物質が存在していることも明らかにしています。製餡の際、渋きりと餡粒子の水晒しを繰り返すことによって、水溶性のカテキン類は除かれ、煮熟中に不溶性の紫色の新規物質が餡粒子に付着し紫色餡ができるのではないかと推察しています。名古屋大学HPにも紹介されています。こちらも合わせてご覧ください。
名古屋大学 研究教育成果情報 プレスリリース 2019.2.08
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