植物が持っている毒☠

 この2枚の葉、何の葉か分かりますか?共に和菓子とは縁の深い葉です。

 左側が桜の葉、右側が紫陽花の葉です。葉脈の走り方が少しだけ違いますがよく似ていますね。そして、共に人に対して毒性を示します。毒と言っても、植物にとっては、外敵からつまり害虫や細菌、カビなどから自分の身を守り子孫を残すための術の一つですが・・・。

 特に日本では、食品に添えられる、例えば刺身のつまなどを食す習慣があることから、注意が必要です。提供側は飾りのつもりで添えたものでも、お客さまが食してしまい食中毒事例が起きたことも実際にありますので、注意喚起が必要です。和菓子教室はなでは、桜餅や練り切りの紫陽花のレッスンの際には、お話していますが、ここで今一度、これらの葉の毒性の詳細を記します。詳しいことは忘れてもしまっても、和菓子の作り手として共通の認識事項として頭の片隅に入れておいていただきたいと思っています。

 まずは、桜の葉から。私たちが桜の香りとして認識しているのは桜葉の塩漬けの香り、”クマリン”という芳香物質の事です。このクマリンはヒトに対して抗酸化作用や殺菌作用、抗凝集作用(血液サラサラ作用)など有用な薬理効果がある一方で、肝毒性も併せ持っています。クマリンの許容量は、体重50㎏のヒトで5mgと言われています。桜葉の塩漬け1枚には、およそ0.03~01.mgのクマリンが含まれているそうですので、よほど沢山(一度に50枚以上)食べなければ問題ありません。実際に桜餅に巻かれている桜葉の塩漬けは桜の風味を与えるために必要ですが、餅と一緒に食すのは、あまりお勧めすることではありません。


 続いて、紫陽花の葉。厚生労働省によると、「青酸配糖体」という植物由来の有毒成分に加え、「抗マラリア成分」、「嘔吐性アルカロイド」という有毒成分が報告されているそうですが、いまだに不確かなことが多く、本当の有毒成分は解明されていないようです。しかしながら飾りとして添えられた紫陽花の葉を誤って食した人の食中毒事例が起きているのは事実であり、主症状は「嘔吐」「吐き気」「めまい」「顔面紅潮」などだそうです。死亡例こそありませんが、食後30分位で症状が出るそうです。これらの事から、紫陽花の葉を安易に飾りに使用すべきでないことを肝に銘じるべきでしょう。

和菓子教室はな

東京製菓専門学校和菓子専科で学び、製菓理論を得意とする講師による和菓子教室です。伝統的な手法の和菓子から、それを踏まえた新しい手法の和菓子および意匠を、そして、和菓子職人さんが長い時間をかけて習得した技術である製餡や生地つくりを、製菓理論に基づいた方法で、どなたでもご家庭で失敗なく簡単に再現することができる和菓子作りをお伝えする教室です。

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