シナモンがポイントかな? 美味しい・・・

 11月のBasicレッスンが終了しました。作ったものは、半雪平製の「亥の子餅」と練り切り製の「秋水」です。「亥の子餅」は、古代中国の無病息災を願う宮廷儀式「亥子祝」(いのこいわい)に由来し、多産なイノシシにあやかって子孫繁栄を願う意味もあり、日本では平安時代に貴族の間に広まりましたが、ちょうど収穫の時期でもあり、次第に収穫の祭りとして一般に広まったと考えられています。また、亥は陰陽五行説で水にあたり、火災を逃れるとされるため、「亥の月の亥の日から火を使い始めると安全」といわれて、茶の湯では、「亥の子」の日に夏向けの風炉をしまい、炉に切り替える「炉開き」を行います。「炉開き」は「茶人の正月」ともいわれ、初夏に摘んで寝かせておいた新茶を初めて使う「口切り」をして、「亥の子餅」をいただきます。現代でも、11月の和菓子屋の店先に並ぶ和菓子の一つです。

 今回は、その「亥の子餅」の生地にアクセントにシナモンを入れ、香り豊かな胡麻餡を包みました。シナモンの香りと胡麻餡の相性が良く、とても美味しい「亥の子餅」が出来上がりました。茶席菓子として供する際には、茶の香りを邪魔する香りはご法度とされていますので、レシピからシナモンを除いてお作りになられると良いと思います。

 続いて、「秋水」です。「秋水(しゅうすい)」とは、秋のころの澄みきった水や流れを表す秋の季語であり、今回は澄み切った水辺に紅葉した落ち葉がはらりと落ちた様を練り切りで表現しました。白い練切り生地に水色の生地を貼り、三部ぼかしにした生地で小豆こし餡を包餡し、もみあげ、成形と進みました。白い生地からうっすらと透けて見える水色は、水、さじ切り(和菓子つくりの技法のひとつ)で水紋を表現しました。後は、紅葉した落ち葉を飾り完成です。飾ると一言で言っても、ただベタベタと乗せただけでは人の心を打つものはできません。落ち葉がどのように落ちるか、自然を観察する感性が必要ですよね。そんなことを再認識したレッスンでもありました。

和菓子教室はな

東京製菓専門学校和菓子専科で学び、製菓理論を得意とする講師による和菓子教室です。伝統的な手法の和菓子から、それを踏まえた新しい手法の和菓子および意匠を、そして、和菓子職人さんが長い時間をかけて習得した技術である製餡や生地つくりを、製菓理論に基づいた方法で、どなたでもご家庭で失敗なく簡単に再現することができる和菓子作りをお伝えする教室です。

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