紫陽花と実山椒、そして和菓子

 関東地方も梅雨入りし、蒸し暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛が3月から始まり、いまだに渋谷教室のレッスンは再開できておりません。調理室の使用は、飲食を伴うため最後まで使用が制限されるようです。東京都及び政府は6/19に自粛の全面解除の予定だそうですが、7月のレッスン再開の可否は不確かです。7月に渋谷教室、池袋教室のレッスンが再開できない時は、少し規模を縮小して他の会場でのレッスン再開を検討しております。6/19以降、決まりましたらお知らせいたします。 

 私も長く生きてきました。戦争も知らず、大きな災害被害にも合わずに歳を重ねてきました。人類は、感染症との戦いであり、人類はそれを一つひとつ乗り越えて今日がある・・・と教科書で習いましたが、まさか自分が生きている間に、こんなことが起こるなんて思ってもみないことでした。見えない敵との戦いは、最初は恐怖でしかありませんでしたが、感染を予防する知恵を得ることによって感染を予防しながら経済および社会活動を始める事の重要性も痛感しております。和菓子教室はなも会員様の和菓子つくりのモチベーションが下がらないように、そして和菓子教室はなが皆様から忘れられないように、感染予防対をしっかりとしてレッスンを少しづつ再開したいと思っています。

 こんなふうに、右往左往している人間社会とは別に自然界では着実に季節が巡っています。先日、紫陽花がきれいに咲き誇っていて目を奪われました。紫陽花は、和菓子の菓名で四葩(よひら)と呼ばれることが多く、俳句の季語でもあります。6月のBasicレッスンは、練り切りで紫陽花を作る予定だったな、なんて思い出しながら、いくつか作ってみましたのでご覧ください。もう一つの実山椒は、この時期に若い山椒の実を摘んで湯がき冷凍しておくのですが、実山椒の爽やかな香りを和菓子に写せないかなぁと思い、山椒餅を作ってみましたのでご覧ください。余談ですが、緑色の野菜やわかめなどを湯がく時、銅鍋で湯がくと緑色鮮やかに茹であがり色あせないです。緑色、つまり葉緑素(クロロフィル)はとても不安定な物質で、加熱によって分解し色あせてしまうのですが、銅鍋の銅イオンがクロロフィルと結合して、安定なクロロフィルが形成され、色鮮やかで色あせないものになるそうです。では、紫陽花からご覧ください。



薄紫色の色が少しづつ違う錦玉羹を作り、細かく切ってレモン風味の白餡にはりつけました。みずみずしい爽やかな紫陽花となりました。

続いて、金団製の紫陽花です。みずみずしいい金団餡の上に紫陽花のはなびら。中餡は小豆こし餡。

つぎは、雪平生地をへこませ錦玉羹と練切り製の紫陽花の花びらをのせました。中餡は小豆こし餡。

艶干し錦玉の紫陽花。紫色はブドウ味、水色はブルーハワイ味、無色はレモン味です。


実山椒。山椒の木にはトゲがあり、注意して摘まないとけがをします。摘んだら房から実を外すのですが、これが意外と厄介で、毎年欲張って摘んだことを後悔しています。あとは、銅鍋で湯がいて水にさらして好みの辛さになったら出来上がりです。

この山椒の実を細かく刻んで、餅生地に入れ、中餡の白餡にもほんの少し入れてみました。一口含むと、山椒の爽やかな香りが口中に広がり、美味しい・・・これいける!癖になりそう! 食した後、舌にわずかなしびれるような辛さが残りましたが、全く違和感なかったです。加える実山椒の量には注意?が必要ですが、とても美味しく出来上がりました。


 では、新型コロナもさることながら、この時期、熱中症にもお気を付けください。レッスンでお元気な皆様とお会いできる事を楽しみにしております。


和菓子教室はな

東京製菓専門学校和菓子専科で学び、製菓理論を得意とする講師による和菓子教室です。伝統的な手法の和菓子から、それを踏まえた新しい手法の和菓子および意匠を、そして、和菓子職人さんが長い時間をかけて習得した技術である製餡や生地つくりを、製菓理論に基づいた方法で、どなたでもご家庭で失敗なく簡単に再現することができる和菓子作りをお伝えする教室です。

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