7月のAdvanceレッスンの様子

 7月のAdvanceレッスンは、「小豆こし餡作り」と「麩まんじゅう」です。まずは、麩まんじゅう。国産小麦のグルテン粉で生地つくりから。グルテン粉は独特の匂いがあり、その匂いをマスクするために青のりと青柚子を加えて2種類の生地を作りました。なめらかな生地にするには、少々力が要りますが仕上がりは絶品です。中餡は、小豆こし餡と、青柚子風味の白こし餡です。しっかり包餡できたら茹で上げます。ゆで上げる湯は沸騰させないようにして火を通します。沸騰させてはいけない理由は、レッスン時にお話ししましたよね。仕上がりに違いが現れます。きれいに茹であがりました、笹にくるんで竹かごに入れて涼し気なラッピングでお持ち帰りです。

 続いて、本日のメインイベント、小豆こし餡作りです。今回は直煮法で、渋切り3回のあと、ふっくらと炊き上げました。乾燥した小豆の吸水は胚芽部から始まり、加熱によって表皮のセルロースも軟らかくなり表皮からも吸水できるようになり、ふっくらと炊き上がります。渋きりとは、字のごとく小豆の表皮に含まれる渋(タンニン)やあくを取ることを言います。渋切りの後は本煮、呉の分離、餡練りと進み並餡の完成です。小豆は煮塾中にいくつかの変化が起こります。餡粒子の形成、紫色を示す物質の形成(詳細は、本HP「日常と和菓子」の項の ”小豆こし餡紫色の正体”に記載)など、こし餡作りの重要なポイントが起きています。ドラマチックですね・・~。そして、水中で呉を分離する理由、並餡の意味などもお話しながらレッスンが進みました。餡練りには、鬼ざら糖(詳細は、本HP「日常と和菓子」の項の ”鬼ざら糖” に記載)を加え練り上げました。つやつやピカピカの並餡が仕上がりました。

 さて、ここからが私がこのレッスンで1番伝えたかった事、理解していただきたい事です。仕上がったこし餡が冷めたら重量を計り、加えた砂糖量から含糖率を計算していただきました。含糖率20%と30%では、30%の方が甘いことがわかりますよね。つまり、人の感覚ではない科学的な数字で表す甘さの指標の一つです。ただ、餡練りの際の水分の飛ばし加減で、この数字は数%動くので数%の違いに一喜一憂しないことが肝要です。市販されている小豆こし餡の含糖率は、どの位なのでしょうか?加えた砂糖量が正確にはわかりませんが、一般的な業務用のこし餡の作り方から砂糖量を算出し比較してみました。実際に食し、甘さ、くちどけ、舌ざわり等比較を試みました。その違いはどうして起こるのか?科学的な説明でその違いを明らかにしました。盛りだくさんな内容で、科学の話なんてチンプンカンプンなんて言わないでくださいよ。皆さん気づかないで調理や菓子作りをしていますが、根底には科学があります。美味しいものを作るには科学的な知識が必要です。ひとりでも「和菓子教室はな」で学んで良かったと思っていただけましたら嬉しい限りです。


渋切り1回目、小豆の皮に皺がよるのはなぜ?

渋切り3回目、皮が伸びてふっくらしています。

呉の分離

餡練り

小豆こし餡の出来上がり、つやつやピカピカ

和菓子教室はな

東京製菓専門学校和菓子専科で学び、製菓理論を得意とする講師による和菓子教室です。伝統的な手法の和菓子から、それを踏まえた新しい手法の和菓子および意匠を、そして、和菓子職人さんが長い時間をかけて習得した技術である製餡や生地つくりを、製菓理論に基づいた方法で、どなたでもご家庭で失敗なく簡単に再現することができる和菓子作りをお伝えする教室です。

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