シャリッ・・! 触感が楽しい艶干し錦玉
3月のAdvanceレッスンとAdvanceIIレッスンの様子です。まずは、レッスン共通の”艶干し錦玉”と”寒氷”から。皆様もご存じのように、ショ糖液を加熱すると液温上昇に応じて溶けるショ糖の量が増えますよね。その高温のショ糖液を室温まで下げると、過飽和のショ糖液となり、余分のショ糖が再結晶化することによって、表面のシャリっとした触感が生まれるのです。また、再結晶化が起こるショ糖液の温度と濃度は一定の範囲でのみおこります。つまり、ショ糖液をカラメルまで煮詰めると、再結晶化は起こらないということです。ショ糖の再結晶化の原理と理論が理解できると、失敗なく作ることができるようになります。受講生の皆さまには、原理、理論を理解していただき、ご家庭でも容易に作ることができるよう、温度管理ではなく、煮詰め濃度を管理することによって失敗なく作ることができる方法をお伝えしました。
写真は、艶干し錦玉4種、左上から、りんご・実山椒・ブルーキュラソー・イチゴミルクです。色素やフレーバーで作るのではなく、ジュースやジャム、リキュール、実山椒を加え、食したとき、ほのかにりんごが香り、イチゴの種が見えイチゴミルクの味がするなど、自然な味にこだわった艶干し錦玉4種をご紹介しました。特に、受講生の皆様に評判の高かったものは、実山椒、山椒の香りとちょっぴり辛い・・衝撃的・・「山椒、美味しい。こんなの初めて」と皆さまのテンションが一気に上がったのがわかりました。その他に、「あっ、これリンゴの味がする」や「イチゴミルクの味だわ」などのお声を聴くことができました。きれいだけど、ただ甘ーいだけのものとの概念が変わったような瞬間でした。アイディア次第で楽しいものが出来上がります。どうぞチャレンジしてください。
続いて、さくらと蝶の寒氷。今回は、山信産業(株)のWサクラパウダー(Cotta)を使い桜の風味付けをしました。蝶は、オレンジマーマレードを加えました。寒氷は、季節に合わせて型抜きするときれいですので、型に合わせてフルーツパウダーやジャムを加えると美味しい寒氷が出来上がります。
受講生の皆様には、10cm角の桐箱(桐箱屋さん 曙工芸 ピアパッコ)に入れて、水引きをかけてお持ち帰りいただきました。
Advanceレッスンでは、もうひとつ「山の芋パウダー」を使った”薯蕷饅頭 早蕨”を作りました。「山の芋パウダー」は冷蔵保存し、新鮮なうちに使うことが美味しい薯蕷饅頭つくりに欠かせない一つです。それと、生地を作ったらできる限り早く蒸し始めることも大事なことです。色付け法も学んでいただきました。蒸しあがったら、蕨の焼印を捺す予定でしたが、加熱装置の不具合によって焼印なしになってしまいました。でもふっくら、つやつや、美味しく出来上がりました。
受講生のお一人のK様が、ご自宅で蕨の焼印を捺してくださった写真をお送りくださいました。どうぞご覧ください。
続いて、AdvanceII レッスンでは軽羹とさくら餡を重ね合わた”さくら軽羹”を作りました。軽羹は、鹿児島の軽羹饅頭が有名ですよね。他にも真っ白くできあがるので薄く色付けたり、真っ白のまま、羊羹と重ね合わせたりすることも多々あります。今回は、薄いピンク色と薄みどり色に染めた軽羹とさくら餡を重ね合わせました。さくら餡もさくら葉の風味を小豆こし餡にうつした自家製さくら餡です。かるかん粉は、上新粉や上用粉と同じうるち米から作られるものですが、製法が少し違い、コメを水洗いした後、半乾きのうちに粗く製粉したものです。軽羹のもっちり、しっとりした独特の触感は、好みがわかれるところですが、大和芋を使ているところから、昔は滋養強壮の高い食べ物として重用されたそうです。
受講生の皆さまが作った”さくら軽羹”の勢ぞろいです。
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